僕の(わたしの)生きる世界1[完]
モニカとルカも直ぐに真剣な表情で、聞き入った。

そして、その他のクラスメート達は目の前で行われている、国のトップの仕事を目の当たりにして、ただただ感心していた。




「新天?…。ってか、魔物を食らってたって、気持ち悪いなぁ…俺らからすれば、共食いみたいに見えるよな…。」


タケルは、そう言って頭を掻く。

そして、少し考えるとタケルが言った。

「ステラに頼みがある…。」

そう言って、タケルが頭を下げた。

「妖精達に、敵にやられて困っている人が居ないかどうか、聞いてほしい!無理か?」

ステラは、悩んだ。
妖精をそのように利用するのは、好ましいことではないから…。

《私達、大丈夫》
《ステラカラ、最近頼マレナイ》
《寂シイ》

いつの間にか妖精達が、ステラ達を囲んでいた。

ステラは、ハッとした。

学園に入るまで、毎日のように森で妖精達とお話しして、妖精達に聞いていた。

『キーリで何か起きていない?』

そう…。いつの間にか、忘れていた。

妖精達は、遊びが大好きで、頼られるのが嬉しい種族だと言うことを。

「皆?ゴメンね?わたし、皆を助けたいの!妖精さん?困っている人達の居場所を教えて?あ、一気に言われても分からないから、順番にね?」

ステラが、何も無い宙に向かって話しかけたのを見て、タケルがもう一度頭を下げた。

「タケル?頭を上げて?ガーナレスの国民を、私達が助けないとね?」

「ありがとう!総帝様」

「ヤダ タケルったら!」

そこで、ミハイルが言った。

「地図を用意してください。ステラ以外の皆さんに、妖精との会話は無理ですが、姿を見えるようにすることなら出来ます。助けを待つ者の場所を指してもらいましょう。」

ステラは、成る程と思った。

確かに助けが必要なら一刻を争う。
1つ1つ場所を聞いていくのは大変だ。

教室に、授業で使う地図があった。
ステラは、机の上に地図を広げた。

ミハイルが、聖属性を教室に放った。

真っ白になった教室が、元に戻るとそこには、大量の妖精達が生徒の間を飛び回っていた。

クラスメート達から驚きの声が上がる。

しかし、それはタケルやモニカ、ルカも同じだった。

「す、凄い…。」
「ゆ、夢じゃないんだよね?」

「って言うか…。さっきの魔法は何?」
「確かに…。あの方は、何者なんでしょう?」

そんな声がクラスメート達から聞こえた。

この状況に、早く適応したのは、タケルだった。

「悪い!この状況の説明は後でするから、皆も手伝ってほしい!ガーナレスの人達を、Aクラスで助けるんだ!」

そして、放心している教師に軽く、コツンと魔法を当てて正気に戻すと、地図の用意をさせた。

二つの机に地図を用意し、ヘンリー、ジェイク、ユアン、ピーターやギルドメンバーや特殊部隊チームへ、念話が出来るタケルとステラがそれぞれの机につく。

タケルにルカが。ステラにモニカが横に立ち、サポート役とメモをとる用意をした。

その間に、タケルはヘンリー、ジェイク、ユアン、ピーターに状況説明をする。

クラスメート達も地図を囲み、妖精達が指した場所を忘れないように、見落とさないように、と緊張の面持ちで居た。



< 233 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop