僕の(わたしの)生きる世界1[完]
ふぅ~。

あんな奴だとは思わなかった。

確かに俺は、身長も164と低い。
学生時代は陸上部で細身だったが、
就職してからは、お腹も出てきた。

イケメンとは程遠い。

振られた直後は、ひどく落ち込み
そんな俺を見かねた同僚が、やけ酒に付き合ってくれたりもしたが、最近はそんな事もなくなり、仕事に明け暮れていた。

20時を過ぎた街は、帰宅途中の人混みで溢れていた。

賑やかな通りを一本曲がると、
閑静な住宅街となる。

ふと前を見ると、ランドセルを背負った
小学生の姿が見える。

塾帰りだろうか?
ご時世の小学生も大変だな。

俺がそう思ったとき。

突如車が飛び出してきた!

(元陸上部を舐めんなよ!)

俺は咄嗟に、数メートル前の小学生の元へと走り、ランドセルの背中を押した。

小学生が、前のめりに転ぶのが見えた。
瞬間、俺はものすごい衝撃を感じた。

佐々木 海斗 享年32才

だった。
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