WOLF-孤独のその先-
何だったんだ一体…
嵐のようにやって来て嵐のように去って行った。
まるで台風のような男…
そんな今の一連の動作に驚いていると目の前に座っているキョウヤとバッチリ目が合った。
「…………」
「…………」
「騙してたわけじゃねェ」
低く小さく発知られた声はどこかいつもより遠くに感じる。
「………」
「…黙ってたのもわざわざ言う必要がないと思ったからだ」
私の気のせいかもしれないけれどグレーの瞳はどこか悲しげに見えて
何だか少し儚げで
「悪い」
何でキョウヤが謝るのか、私には分からない
だって私は騙されたなんて思ってない。
少しだって思ってない。
だって私達は互いをあまりに知らなすぎた、だだそれだけのことだ。
私は自分の事を話すタイプではない、そしてキョウヤも自分の事を話すタイプじゃない
ただそれだけの話だ。