WOLF-孤独のその先-
え…と戸惑う私に言葉を続けたのはカウンターにいるスグルさんだった。
「キョウヤはナオちゃんがよっぽど心配みたいだね」
そういって素敵な笑顔を向けるスグルさんは従兄弟なだけあって少しキョウヤに雰囲気が似ている気がする。
どうやらキョウヤは私に居場所を与えようとしてくれてる。
あの自動販売機横じゃなくて、あんな虚しくて寂しい所じゃなくて。
ここで働けと言いながら、私に居る場所をくれようとしてくれている。
そんなキョウヤの優しさに心がトクンと音を鳴らす。
「でも…迷惑じゃ…」
でもきっとそんな事いきなり言われって、スグルさんにも迷惑がかかる。
「うちは迷惑なんかじゃないよ、チヒロが辞めるから人手が足りなくて困ってた所だから」