WOLF-孤独のその先-
「そうか、よかったな」
「うん」
「疲れたなら帰るか?」
「うん、そうだね」
お会計をすませたキョウヤは戻ってくると「行くぞ」と言って扉へと歩き出す。
私は少し遠くから「おつかれ〜」「ナオちゃんまたね」と言ってくれるスグルさんとチヒロさんに手を振ってキョウヤの背中を追いかけた。
時刻はまだ22時すぎ、いつもならまだ外にいる時間。こんな時間に家に帰ろうとしているなんてほとんど奇跡に近いと思う。
「キョウヤはもう家に帰るの?」
「いや、また店戻る」
いつも私とキョウヤが別れるのは終電近くの時間だ。
初めの方は早く帰るように言っていたキョウヤだったけど、早く解散するとまた私があの場所へ行くのを知ったキョウヤはもう早く帰るよう言ってはこなかった。
だからから、キョウヤは私が帰るというといつも家まで送ってくれる。
繁華街からうちなんて本当目と鼻の先なのに。家まで送らないと私がフラつくからそれがどうやら気に入らないらしい