WOLF-孤独のその先-
あまりの驚きに何も言えない私達の間には沈黙が続いた。
それはあまりにも長く永遠のような感覚さへした。でも多分実際には5秒ほどの短い沈黙。
少しして先に口を開いたのはキョウヤの方だった。
『今のは忘れてくれ…悪い』
何故悪いと言うのか、何故忘れろと言うのか、でも忘れられるわけがない。
こんなにも忙しくて心臓が動き出した事なんて初めてだから。
こんなにも胸がギュッとした感覚は私には初めての経験だから。
思わず自分の胸元の服を握りしめる。