WOLF-孤独のその先-
「チヒロから聞いた」
私の家のマンションに着く少し前
キョウヤの低くて心地の良い声が夜の道路に響く
「今日の事、色々考えてくれてたって」
そう言われて先日チヒロさんに話した内容を思い出す。
キョウヤにとっての誕生日を良い思い出の一つにしてほしいと。
「忘れねェよ、今日お前達が祝ってくれた事」
それが良い思い出になったかは分からない
でも、
「これから先もずっと、忘れねェ」
うん、きっと私もこの時の綺麗なキョウヤの横顔を忘れる事は無い。