WOLF-孤独のその先-

「なんだ」だとか「そっちで処理しろ」なんてそんな単語のみでされる会話。受話器の向こうからは男の人の声が聞こえている気がする。





それは私に聞かせないための会話なのか、それともキョウヤは長々と話すタイプではないからなのか、すぐさま切られた。




「もういいの？」




「あぁ、たいした用じゃねェ」





「でも来てくれみたいな事聞こえたよ？」





「今から来れますか？」受話器の向こう側からは確かにそう男の声が私には聞こえた。





「いかねェ」





「大丈夫だよ、私一人で帰れるし」




キョウヤのマンションから私の家までは歩いてほんの10分程度。



そう言って立ち上がった私を座ったままのキョウヤが「わかれよ」とでも言うように少し睨みつけてくる。







「今日はお前といてェんだよ」