WOLF-孤独のその先-
そんな私に気がついたのかキョウヤは小さくフッと笑うと、私に合わせるように話をそらしてくれた。
なんだかキョウヤはすごく余裕そうで、私ばかりがいっぱいいっぱいな気がする。
「もう今までみたいには、簡単に出歩けねェんだ」
「どうして?」
「俺には敵が多いからな、今までみたいにはいかない。護衛のいる車で何処かに行くくらいなら家で二人でいたかった」
護衛がつくほど敵の多いらしいキョウヤ。
そんなキョウヤの世界には私からしたらやはりあまりにも遠い世界で想像も付かない。
「嫌だったか?」
「そんな事ない」
私もキョウヤと二人でいたい
「そうか、良かった」
ずっと繋いでいた手を離すと、キョウヤが着ていたスーツの上着を脱ぎ捨てた。
「……うん」
やっぱりキョウヤは色っぽい、女の私よりきっと何十倍も色っぽいと思う。