WOLF-孤独のその先-
イライラをむき出しで珍しくペラペラと喋るキョウヤに、思わず可笑しくなって「ふっ」と笑ってしまう。
「何笑ってんだよ」
「誰も連れ込んでなんか無いよ、よく男連れ込んでたのはお母さん。それはお母さんが買っといたやつが偶然あったの」
私のその言葉に今度はムスっとした表情のキョウヤ。
「ここにはソウも来たことない」
これって多分ヤキモチ。キョウヤのヤキモチだ。
「キョウヤが初めて、本当だよ。」
キョウヤのスウェットを持つ手とは反対の手をぎゅっと握ると、その手をギュッと握り返してくれる。