WOLF-孤独のその先-
「ナオちゃん何買う予定なの?」
駅前の交差点、私に聞いてくるのはチヒロさん。
「えっと、収納ボックスとか小さいテーブルとかですかね。今あるのは母が使うそうなので家具系揃えないといけなくて」
やっぱり私達の周りには人っ子一人寄り付かず、遠巻きにたくさんの人達がキョウヤやチヒロさんを見てキャーキャー言っている。
もちろん私へのキツイ視線も浴びせながら。
まぁそれはいつもの事なんだけど…人が寄り付かない原因はきっとそれだけじゃない…
私の右横、そこにはまたもや不機嫌丸出しのキョウヤ。
さっきチヒロさんに邪魔された事がよほどムカついたらしい…
「じゃあすぐそこのビルに揃ってそうだね」
にこやかに話すチヒロさんに私も笑顔をむけて返事をする。と
右側から私の腰を抱いていた腕に力を込めてさらにギュッと引き寄せてくる。
それに合わせて周りの野次馬達からは悲鳴が聞こえてきた。
「おい、俺以外の男に笑顔振りまくな」
笑顔振りまくって、ただ普通に話してただけなんだけど…
しかも男ってチヒロさんだし…
思わずクスっと笑うと、左隣からチヒロさんの「やれやれ」というやっぱり楽しそうな声が聞こえてきた。