WOLF-孤独のその先-
そのソウの声を聞いて、私は捕まってしまったんだと今更気が付く。
私はやっぱりバカだ…
助けるつもりがまたソウにこんな顔をさせて。足を引っ張って。
白夜月のメンバーは一歩も動けずただこちらを睨んでいる。
「そいつは関係ねェ!!」
ソウの大きな声が倉庫内に反響してその怒りがビリビリと空気を伝わって感じる。
「関係ない?お前の様子を見るとそうは見えないぞ」
くくっとノドを鳴らし笑う銀髪の男は、右手に持っていた鉄パイプをカランカランと軽快に鳴らす。
「そいつは俺の女じゃねェ」
ソウは私を庇おうと必死に叫ぶけど、
「そうか。まぁそんなのはどうでも良い、お前にとって大切な人間だって事に変わりは無さそうだからな」
その右手の鉄パイプが持ち上げられ
そして空を切る。
「やめろッ!!」
ソウの声がやたらと遠くから聞こえてくるような気さえして
こっちに向かって走って来ているソウと、頭上に振りかざされた鉄パイプがやたらとスローに見えた。