WOLF-孤独のその先-
「だめ!やめて!」
「…ナオ」
「もう喧嘩しないって言った!」
私の為に怒ってくれてるんだって分かってる。
私のせいだってわかってる。
けど私がこんなに情けないせいで、どうしようもないほどバカなせいで
「私は大丈夫だから。だからキョウヤにそんな事してほしくない!!」
そんな瞳になってほしくない。
まるで何処を見ているか分からないような、以前のキョウヤのようになってほしくない。
涙がスッと頬を伝った。
結局ソウを助けられなくて、それどころかキョウヤにもこんな表情をさせていまった不甲斐なさに涙が出た。
キョウヤは抱きついていた私の手をゆっくり離すと、前から抱きしめるようにして優しく包み込む。
「ケイ!!」
いきなりのキョウヤの叫び声に思わずビクッと身体が揺れた。
「言い訳は聞かねェぞ」
いつの間にかもう銀髪には興味を無くしたのか怒りの矛先はケイゴへと向けられ
「いや、ちゃんと危険になったら助けに入るつもりでしたよ」
「ほら」というように緩めたネクタイとスーツを腕まくりした姿を見せる。
「あと片付けとけ」
「了解」