WOLF-孤独のその先-



どんなに騒がれようが噂されようが、やっぱり隣のキョウヤはそんな事まるで耳にも入ってないのか気にする様子なんてなくて





「ねぇキョウヤ、私今可愛いって言われた」





いつもの野次じゃなかった事が嬉しくて、というよりキョウヤと一緒にいても文句を言われなかったどころか可愛いなんて言ってもらえた事が嬉しくて、思わずキョウヤにそう耳打ちをすると





「あ?」




何故か低くそんな声を出してくる。





あぁそうか、キョウヤはいつも腐るほどカッコイイって言われてるからこの私の嬉しさが分からないのか。まったく贅沢人だ。





「誰だよ、んな事言った奴」





「……え?」






私の腰に腕を回し周りをギロリといきなり威嚇し出すキョウヤ。何故怒ってらっしゃる?





「今すぐ連れてこい」




「あの…何が?」





「お前を可愛いとか言った奴だよ」





「えっと、何で?」




「お前の事ヤラシイ目で見る奴はコロス」





いやいや、キョウヤ勘違いしてるから!何か思い切り勘違いしてるから。てか全くヤラシイ目で見られてないから!





「可愛いって言ってくれたの女の人だよ」




「は?」




「だから女の人だって」






私がそう言うと「何だよ。だったらいちいち言ってくんな」とでも言いたそうな目で見られて、やっぱりモテ男のキョウヤはカッコイイって言われすぎて贅沢人なんだと思った。




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