WOLF-孤独のその先-
絆
「ナオ、今日も倉庫来るか?」
私は最近、時々白夜月の倉庫に出入りするようになった。
特に何かをするわけじゃない、ソウや梶君と話したりなんかして時間を潰すだけ。本当にただそれだけだ。
キョウヤの連絡が来なくなってから、初めは元気を出そうとしてたもののなかなか鳴る事のない 携帯に何だか嫌気がさしてた時それを見かねたソウに倉庫に来ないか誘われたのが始まり。
前までは倉庫に行くことをまんまりよく思ってなかったソウだけど、「行ってもいいの?」って聞いたら「自分が総長になったいま全力で守るから問題ねェ」なんてものすごい男前な事を言われて思わずどきりとした。
「うん、行こうかな」
家に帰ったところで特にすることもない。ただ思いつめちゃうだけなら、誰かと話してた方が一層の事気がラクだ。
キョウヤの連絡が来ないまま一週間がした時、一通のメールを送った。
あの日大丈夫だったのかという事と、時間がある時に会えたらいいなっていうだけの…そんなたわいも無い当たり障りのないメール。
キョウヤとはアドレスの交換はしてないから、電話番号でショートメールを送ったんだけど返事は来なくて
キョウヤはメールをしないらしいから、ただ見ていないだけなのかもしれない。そう思うことにした。
けど、その次の日にかけた電話はしばらくして留守電になって、そして折り返しの電話が来ることも無かった。
キョウヤが電話に出ない事なんて今までほとんどなくて、もし出なかったとしても必ず折り返しをしてくれていたのに…
キョウヤに何かあったのか…そんな事が頭をよぎる。
でも、もしそうだとしても…ケイゴやチヒロさんから連絡がくるはずで…週末にいつも通り来たケイゴは特に何にも言っては来なかった。
むしろいつもよりうるさいくらい。あれが食べたいだこれが食べたいだうるさかったくらいに思う。
こんなことなら…あの時ケイゴに聞けば良かった。