WOLF-孤独のその先-
「こんな所でどうしたんですか?」
ソウが警戒していた体制を崩すとケイゴに顔を向ける。
「あぁ、仕事の帰り」
「そうなんスね。お疲れ様です」
「それよりナオてめェ、何でメール無視してやがる」
ん?メール?
昨日から鞄に入れっぱなしにされている私の携帯。ケイゴに言われ仕方なく鞄から取り出すと、確かに昨晩ケイゴからメールが来ていた。
でも私はそのメールを開いてから酷く後悔する事になる。
何とそのメールの内容は【明日の夜中にやる映画録画しとけ】というなんともどうでも良いメールの内容。
何故私が映画を録画しないといけないのか、何故そんな事言われないといけないのか。
むしろもっと他に色々言ってほしい事なんてたくさんあるのに。
このメールって…まぁケイゴらしいと言ったららしいけど…
思わず呆れため息と一緒にははっと笑うと「何いきなり笑ってんだよ。可笑しくなったのか?」と本気で心配された。
何だか少し、久しぶりに笑った気がする。