WOLF-孤独のその先-
「ねぇ、話しって何?」
ハンドル片手に慣れた手つきでステレオをいじっているケイゴ。
「あぁ、それな。腹減ったから飯食ってから」
まぁ多分キョウヤ絡みなんどろうけど。私も丁度聞こうと思ってたころだから良いタイミングなのかもしれない。
「何食いてェ?」
元気が無い上にお腹も空いてないなんて行ったら怒られそうで「チャーハン」と適当に答えると「じゃあ駅前のラーメン屋な」と返事が返ってくる。
いつも通り私のマンション近くのパーキングに停めて煌びやかに光り出した駅前のを歩く。
キョウヤといる時よりはマシにしても、やっぱりケイゴと歩いていても視線はかなり集まるわけで、それらと視線をあわせないようにしていると
「ナオ!!やっぱラーメンやめてあっちの焼肉屋行くぞ!」
いきなりそんな事を言い出したかと思うとガシっと強く肩を組んでくるケイゴ。
「え?何いきなり。焼肉なら先週食べたじゃん」
「いや、でもいきなり食いたくなった!あっちにめっちゃ美味い店あんだよ!」
歩いていた方向とは違う方向へとグイグイ私を押してくるケイゴはあきらかにおかしくて
「ちょっと本当何なの?全然お腹空いてないのに焼肉食べたくないし」
私も私でケイゴとは反対に、元行こうとしていた方向へと歩き出す。
「おい!!待てってバカナオ!」
私はこの時ケイゴの言うように焼肉屋に行ってれば良かったと。食べたくなくてもこの分かりづらいケイゴの優しさに便乗しとくべきだったと…
あとで死ぬほど後悔することになる…。