WOLF-孤独のその先-
孤独のその先
キョウヤの遠ざかる背中を見ながら、全身の力が抜けて膝から崩れ落ちる。
後ろからは「ナオ!」「ナオちゃん!」とケイゴとチヒロさんの心配の声が聞こえる。
でも、もう涙は出なかった。
キョウヤの別れの言葉を聞いたら、全てが終わってしまったような気がした。
どんなに私が側に居たいと思っても、やはりキョウヤの決意は固くて…
私の存在はキョウヤの邪魔をするだけなんじゃないかと思った。
私もキョウヤにあんな顔をさせたかったわけじゃない。
隣で笑って二人で幸せになりたかっただけなのに…
「ナオ!!」
喉がジンジンと痛む。
膝は擦りむいて血が滲む。
「俺の言った事忘れたのか!!」
その大きなケイゴの声はすごく必死で、護衛に無理矢理押さえつけながらも振り解こうともがく。
「……信じる」
キョウヤを信じる
二人を信じる
自分自信を信じる
「それがお前の全部なのか!違うだろ!!お前の思いはそんなもんじゃねェだろ!!諦めんな!!!」