WOLF-孤独のその先-



だけどそんな男の態度を見てか、キョウヤは「ナンパじゃねェか」と何故か低い声を出すと男を睨み付けた。



「いや!あの!本当すみません!キョウヤさんのお知り合いだとは知らず!本当すみません!」



やたらとペコペコする男を長身のキョウヤは見下ろすと「分かったらうせろ」とんでもなく低く恐ろしい声で吐き出し、それを聞いた男は慌てて走り去って行ってしまった。




「え…ご飯は…?」




走り去る男の背中を見つめながら、もう本当に寒くて限界でお店に入りたかった私の口からは思わずそんな本音がこぼれ出る…




「おい」




また自販機の隣に逆戻りかと、肩を落としながらとぼとぼと歩き出した私に




「この辺ウロ着くなって言っただろ」




ズボンのポケットに手を突っ込みながらそう言ってくるキョウヤはやはりどこか不機嫌で



そう言えばキョウヤの家を出る前にそんな事を言っていたような気もする






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