我追う者は去り。
ならば、兄弟である「兄」を支配しようか。
いや、…我なりに、考えては見たんだが。
兄を支配することが、不可能に及びそうだ。
何にしろ、幼少期から我を嘲笑った極悪な奴だ。
今でも裂かずんだ目をしている。
学業に励み、今では有名な医療大学に進学している。
しかも、奨学金を貰っていて親不孝なく完璧な将来を託されている兄。
両親がそんな兄を、可愛がらないはずがない。
そんな育ちだからこそ、我と比べ笑う兄が大嫌いだ。
何事にも勝てる気がしない。
元はといえば、同じ中学の時に我が…。
いや…この話は後にしよう。
とにかくだ。
兄は俺の強敵であり、支配下とするにはクライマックスな存在。
ならば、両親か?
…ふむ、だが兄を支配下にしなければ両親が引き下がるはずもない。
最終的には、「妹」。
又は…「クラスメイト」。
仕方ない、明日学校へ行ってみよう。
何日、いや何ヶ月ぶりだ?
4ヶ月は行っていないな。
学業に関しては、随分と遅れをとってるに違いない。
せめて、今習っているところだけでも知りたいな。
我は、両親から与えられた兄のおさがりである「スマホ」を手にとり
唯一、クラスメイトで仲のいい雄輔(ユウスケ)にメールした。
“
明日、支配のため学校へ行ってみようと思う。
そのため、今している学業に関して最新情報をくれ。”
送信。
する前にもう一度、読み直した。
先ほどの妹のセリフ、「話し方キモイ」が妙に心残りであるからだ。
これは、キモイのであろうか。
まぁ常識ではなさそうだ。
悩んでも仕方ない。
送信だ。
ピッ、と押した。