我追う者は去り。


プツリと切れた電話口からツー、ツーと数回聞いてからやっとスマホを机に置いた。


雄輔…。
そういえば、と思う。

いつも隣で笑って、話して、笑って。
4ヶ月もなにか物足りなかった。
あぁ、雄輔だったんだな。


久しぶりに会いたい衝動に駆られ出した。


4ヶ月、すまなかったな。


素直にそう言いたいからだ。

また、スマホが唸る、
次はメール着信だ。



“勉強の範囲は明日教えるな。
今言っても今回のは難しいから俺でも無理だ。”


学年とップ10の雄輔がいうからにはよほど難しいんだろう。
すこし生唾を飲んだ。




…正直なところ、行きたくない。



って、なにを我は…。
恐怖心にうち勝てず何が「支配」だ。


皆は、ただの支配下に過ぎない。
ただの、支配下…奴隷か。



「フッ」



鼻で笑ってやった。
あぁ、なにを我は怖がっていたのだ。



「馬鹿馬鹿しい!ははっははは!」


そうだ、奴隷だ。
笑い飛ばせ。


「はは!…ははは…」


哀れで虚しい奴らよ。




「………は、は…。」




…馬鹿だ。






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