主任は私を逃がさない

　自信満々に胸を張る今日の私のファッションは、友恵に厳選してもらった淡いベージュのワンピース。

　細かい花柄の白レースプリントが胸元を飾っていて、華やかさがある。

　足元は新品ピカピカの白いパンプス。

　ハンドバッグは小さなリボンデザインが可愛いらしい、スクエアタイプのピンク。


　ふふん、どうだスゴイでしょ。女らしさと、可愛らしさと、華やかさも兼ね備えた完璧なデートスタイルよ！

　……って、友恵が言ってた。


　いや、こんな服、いままで着たことないし。

　正直自分ではよく分からないんだけど、友恵が選んでくれたんだからこれでいいはずよ。


　でも史郎くんのファッションは、私よりずーっとシンプルだった。

　グレーの薄手テーラードジャケットは、柔らかそうな素材の編みで堅苦しさが全くない。

　無地のチノパンも濃い目のグレーで合わせてるから、シャツの単色が一層引き立つ。

　目を奪われるような鮮明な青色が、史郎くんの綺麗な容貌を胸元からパッと明るく照らしていた。

　……この人の場合、顔がファッションの一部みたいなものだもんね。つくづく顔が良いって得だと思う。