主任は私を逃がさない

「おはようございます。どうかしたんですか?」

「あ、中山さん! あの、実は……」

「おい中山君。これはなんだ? これ、今日の搬入品の伝票だろう?」


 私の父と同期の溝口次長にいきなり伝票を突き付けられ、面食らった。

 今日の搬入品? ……ああ、溝口次長が担当している私立高校の、大量一括納入が決まってた件ね?

 昨日の懇親会を主催したメーカーに私が手配して、とっくに商品も入荷済みのヤツだ。


「良く見てみろ」

 顔に引っ付けられそうなほど伝票を近づけられて、私は眉を寄せながら確認した。

 ええと、ウルトラブックのノートパソコン高SSD対応型、35台。

 専用スタンダードデスク、チェアーセット35台。

 あとキャビネットと、ポータブルスクリーンと、プロジェクターと、タブレット、その他諸々……。

 記憶にある限りでは、次長の指示通りの品揃えだと思うけど。

 なにしろここ最近は仕事のミスが多いのを自覚してたんで、注文する時しつこいくらい何度もチェックしたから。


「これのなにが問題なんでしょうか?」

「これ、本伝票だろ? 日付け見てみろ」

「日付け……? あ!」


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