恋愛シュガー
「あ…あたし帰ります。じゃあね。美穂」
渡すはずだったプレゼントを持ってあたしは王子の家をあとにした。
これ以上無理だと思った。
萌花ちゃんの笑顔を見るのも。
王子の笑顔を見るのも‥
これ以上なにを聞けばいいの?
二人が付き合ってた頃の話?そんなの聞きたくなんかないよ。
もう…やだっ。
「ひなたちゃん!?」
王子があたしの名前を呼ぶ声が聞こえたけど…
あたしは振り向くことなく来た道を走った。
王子の喜ぶ顔が見たくて買ったプレゼント。
来る前はすごくキラキラ輝いて見えたのに、今は寂しそうに袋の中に入っているだけだった。
「もう捨てようかな。」
…どうせもう渡すこともないし。