優しくて温かい場所(Gently warm place)
三話☆☆過去Ⅱ
∴∴苦しい
家に帰ると
父の秘書から書斎に案内された。
父から、
「お前の嫁ぎ先が決まった。
大学を卒業したら、
直ぐにその人と結婚しなさい。」
「嫌よ!!
今まで放置していたくせに
今更、何言ってるの。
私には、結婚したい人もいるし
幼稚園の先生になるのも
決まっているのよ。」
「ああ、あの教師か
その辺の教師風情に柳家の
娘をやるわけには行かない。
幼稚園の先生だと
そんなもの、なんになる。
いいか!お前は、私の言うことを
聞いていたら、いいんだ。」
「お父さんは、いつもそう。
私の気持ちとか、何も考えない。
だから、ママは苦労して
亡くなったのよ!!」
と、言うと
「うるさい、あいつの話はするな!」
と、頬を叩かれた。
「‥‥痛いっ、何するのよ!!」
「いいか、お前の結婚相手は
決まってるんだ。
大学を卒業した次の日は、
籍をいれて挙式する
逆らうな、逆らうと安西だったかな
そいつの教師生命とそいつの両親の
教師生命を断つことになる。
私の力を使えば簡単なことだ。
わかったな!!逆らうんじゃない!」
と、言った。
「酷い。私は、仮にも貴方の娘よ
よく、そんな脅しみたいなことが
出来るわね。」
「何を言ってる。
今まで、自由に好きなように
やらせてきただろ。
それで充分だろ。
お前如き所詮わしの駒なんだ。
しっかり、わしの役にたて。
拒むと、本当にあの一家が
どうなるかわかってるな。」
と、言った。
父は、本当にやる。
今までも、汚いことを
散々やってきた人だ。
父の秘書もニヤニヤしながらみていた。
生け簀かない男だ。
教師となり、毎日を生き生きと
生活している、智を壊したくない。
あんなに、私に優しくしてくれた
智の両親にも、迷惑かけたくない。
私には‥‥‥選択の余地なんかない。
「わかりました。
絶対に、智や智の両親には
何もしないで。
何かしたら、その場で死ぬから。
それから、卒業式までは、
自由にするわ。
手出しは、しないで。
式の衣装なんかなんでもいいから
あなたが決めたらいい。」
「わかった。私を裏切るな。
いいな!」
と、言った。
これが、血の繋がった親のすること
なのかと、涙が止まらなかった。
私は、絶望にうちひしがれて
ふらふらしながら
綾華の家にやって来た。