優しくて温かい場所(Gently warm place)
∴∴咲桜の思い
私は、ママのお墓に来ていた。
「 ママ‥‥‥
私は、どうしたらいいの?
智は、お兄ちゃんに
[ 私を許せない ]と、言ったのに
何しに来るのかな?
もう······
·····責められるのは‥‥嫌なの‥‥
あの時·····
私には······ああする以外の
選択肢はなかった。
智と智の両親を守るためなら
自分がどんな犠牲を
払っても構わないと思った。
ママ、智のお父さんとお母さんは、
とっても、温かくて、優しい人達なの
だから、守りたかった。
実の親でも、私の瞳を嫌い、
邪険にされてきたのに。
瞳をきれいだと、素のままでいなさい
と、言ってくれたの
それに、智も教師の仕事が
楽しくてたまらないみたいで、
毎日瞳を輝かせていた。
それを奪うことは、私には出来なかった。
なんども、なんども、離れたくないと
助けて、と叫びたかった。
でも、自分を必死で押さえたの
三人を不幸にして、
自分の幸せをとるなんて
私には‥‥出来なかった
それからは、生きてるのか
死んでるのは、わからない生活の日々。
ただ、優也と拓也が私の生き甲斐で
綾華が、ずっとそばにいてくれたから
私は、壊れずにこれたの。
ねぇ、ママ、私に他の選択肢が
あったのかな?」
すると‥‥‥
「すまない。本当にごめん。
俺、俺は、咲桜に捨てられて
生きた屍になったことしか
頭になくて。
咲桜が苦しんでいる事も
何もわからずに、あんなに簡単に
切り捨ててしまって。
あの時、親父をお袋を守ってくれて
ありがとう。
俺を守ってくれてありがとう。
もし、もしも、許されるなら
この先、ずっと、咲桜といたい。
もう、俺に対して気持ちはないか?
こんな、自分勝手な弱い俺では
無理か?」
と、言われ。
「ええっ、智?どうして?
何、言ってるの?
貴方には、奥さまいらっしゃるでしょ?」
俺は、涙を止めることも出来ずに
驚いている咲桜のそばに行き
咲桜を抱き締めて
「きちんと気持ちを話して
離婚してきたよ。
俺は、咲桜以外、愛せないから。」
と、言うと
咲桜は、ボロボロ泣きはじめて
俺の首に自分の腕を巻き付けた。