優しくて温かい場所(Gently warm place)

∴∴神崎 琢磨



私は、仕事人間だ。

父もそうだったから
それが、当たり前だと思い
生きてきた。

その上、私は一人っ子で
両親の私に対しての期待も大きく
それに答えられるように
努力してきた。

そんな中、父が他界して
母と二人暮らしになった。

家事は家政婦が行なって いた。

私も良い年になり
叔父の知り合いの
お嬢さんを嫁に貰うことになった。

デートだのなんだのは煩わしい
だけだと思っていたら

転勤でニューヨークに行くと
同時に入籍して
そのまま、一緒に行く

私的には、無駄が省けて
良かったと思っていた。

空港には、彼女の父親とその秘書がいて
直ぐに彼女も現れた
彼女は、目を見張るほどに
美しい人であった。

私達は、話すこともなく
ニューヨークに飛び、
生活が始まった。
咲桜さんは、妻として完璧だった。

子供も、二人男の子が出来
彼女は、子育てと妻の仕事をきちんと
こなしていた。
ただ、相変わらず、
私達には夫婦らしい会話はない。

淡々と毎日が過ぎて行った。
彼女の瞳は、グリーンだったから
コンタクトをさせた。

家の中にも、外国人がいるみたいで
落ち着かないから。
それが、彼女を傷つけているなんて
わかっていなかった。

日本の母の体調が悪くなり
ニューヨークで実績もあげていたから
日本に帰国の希望をだして
受理された。

帰国してからは、
母は、たまにコンタクトを外している
咲桜に会うと、恐がり、叫んで騒ぐから
何度も、咲桜を叱り罵った。

私にとって、母以上に大切な人は、
いないから、
「母を大事にしろ」
と、命令した。

日に日に、母の症状は悪くなり
咲桜から、
「施設にいれて、きちんとした
対応をしてもらった方がいい」
と、言われたが、他人に言われると
頭にきて、かなり叱りつけた。

咲桜は、みるみるうちに
痩せて、やつれていくが
私は、どうしていいか、わからずにいた。
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