取り敢えず書いてみた作品(無題)

人成らざる者達



暗い部屋

窓一つない歪な部屋に少年と少女が手足の鎖を揺らす。


「喉が……乾いたわ」


少女は鋭く尖る2本の牙で自らの手を深く傷付け、溢れる鮮血に不服そうに吸い付く。


「ダメだよ。ほら、僕のをあげるから」


「あら……本当にいいの?ありがとう」


こくりと頷いた少年は、襟を引いて白い首筋に指を馳せる。少女は少年の首筋に牙を滑らせ、噛み付いた。


ズブッ

皮膚を裂く醜い音を立てて首筋の傷口から流れ出る赤黒い血。ちゅるちゅると血を啜る音が2人の静かな部屋で響いた。


「後で僕にもちょうだいね」


「うん」


指を絡ませた2人は、たった1人の家族を確かめるように、確認するように抱きしめあった。




2人が互いの血を啜りあったあの日から、二人にとっては少し、人間にとっては1000年の時を経て、唯一の頑丈な部屋の扉が開かれた。

扉から入ってきたのはまだ幼い2人の子供と老人2人。不安気に揺れるその瞳が1000年経っても姿形の変わらない2人を映し出す。


「ずっとずっと永遠とも言える時間を過ごしてきた。今日、僕たちは解放されるよ。赤」


「この時をずっと、ずっと、待っていた。
もう、自由だよ。青」


少年と少女は入ってきた二人の子供に向かって走り出した。

怖くなった二人の子供は互いを庇い合い座り込む。

それを無視してなおも突き進む少年と少女。

その姿は、獣そのもの。


二人の子供を襲うかと思いきや、少年と少女が鋭く尖る不気味な歯を見せて襲ったのは後ろにいた老人2人。

きっと、二人の子供の祖父祖母だろう。


チーターおも上回る俊足はウエアウルフだけの力。


どんな獣にも負けない忠実心はヴァンパイアの力。


〈本能に従い本能のままに生きる。〉
《主に従い主へ一生の忠誠を。》


〈それが、気高きウエアウルフ。〉
《それが、忠実なヴァンパイア。》


「ねぇ、見て。今日は満月よ。青」


「本当だ。今夜は血が騒ぐね。赤」


初めて外へ出た2人

青と呼ばれた少年の瞳は赤く
赤と呼ばれた少女の瞳は青く

ゆっくりと時間を掛けて姿を変える

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