living

ピアス

花菜が見つかったのは

2日後のこと


亜依里の墓の前で
血を吐いて、倒れていたそうだ



たまたま人が通り、発見されたが

本来、あまり人が行かない場所



「これ、近くに落ちてたそうです」




看護師から渡されたのは、亜依里から花菜へ贈ったピアス

箱を開けると

折りたたんだ紙

〝花菜ちゃん
私を受け入れてくれて、ありがとう!
やりたかったこと全部やれたよ!
これからは、陰ながら花菜ちゃんを
応援するからね!
これからも私たち、2人で1人
よろしくね!
花菜ちゃん大好き! 亜依里〟


〝亜依里にあげる
亜依里に出会えて、幸せでした
ありがとう〟



「なんだ……これ
2人して、譲り合って……」













「目を覚まされました」


看護師に呼ばれて、井原家の両親と朔哉が中に入った


それから、朔哉に呼ばれて母さんと俺

そして、琉成が中へ


「どなたかわかる人いるかな?」


医師の質問に、花菜が俺達を見まわし


首を横に振る


そして、点滴のぽたぽた落ちるのを見て

「減ってくねぇ~」

「そうだね~花菜ちゃん」

「花菜ってだれ?」


「亜依里?」


「亜依里ってだれ?
先生…私……だれ?」


「大丈夫…すぐに、思い出すよ」



病室から出され、少し広めの部屋に集められた


「記憶障害ですね
脳に強いダメージを負うとか
とても、辛いことがあるとか
そういったことが引き金になることが
多いので、明日 脳検査しましょう」


今までの亜依里じゃなく

脳死した亜依里が

花菜の体を貰ったのか


俺以外にも皆、そう思ったらしい



花菜の両親が

「何も記憶がないのだから、うちに返して貰っていいですか?」



花菜を追い出すようにしてしまっまのは

俺…



反論なんて出来なかった



母さんも、頭を下げ


「申し訳ありませんでした」



「朔哉、花菜のこともあるから帰ってこい」

「わかった」
















花菜が亜依里に体をあげたのに

結果的に、亜依里には記憶がなく

花菜として、過ごすことになった




「花菜に関わらないで下さい」









不思議な縁だった


幸せだった




「さみしいわね……」



母さんが、ポツリと言った



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