鉛筆のぼく。
と、おばさま
次の日、また一日の役目を終えた僕は、おばさまに考えたことを伝えた。
むず痒いかどうかはわからないけれど、身体中がドキドキして、役に立てると嬉しい、ということ。
「まあ、そうなの。じゃあそれは恋なのかもしれないわね」
「本当に?そうなの?僕、むず痒いってなんのことだかわからなかったけど」
「私もどういうことなのかはわからないわ。けれど、私の知り合いの子がね、僕くんと同じことを言っていたのよ。恋はとてもむず痒くってドキドキしてけれど嬉しいって」
「じゃあ、僕はおねいさんにコイをしているんだね。」
「ええそうね。でもそれじゃあ困ったことになったかもしれないわね」
「困ったこと?」
「そう。僕くんが昨日言っていたことって、そのお洋服のことじゃなくて?」
「そうだよ。おねいさんは僕にこの服を着せてから抱き締めてくれなくなっちゃったんだ」
「やっぱりそうなのね」
おばさまはどこか寂しそうにそう言った。
それからすぐ僕とおばさまはさよならすることになってしまって、僕はおばさまにどうしたのか聞くことができなかった。
もやもやしていたけれど、おばさまと会う時と部屋に入れるときだけ服を脱がせてくれるおねいさんに抱きしめてもらって、僕は部屋に戻った。
あ、と気付く。コイと大好きが同じことなのか聞くのを忘れてた。
明日またおばさまに聞いてみよう。