無情の姫
でも、


下品だ。
 
バカみたいにギラギラとした装飾は不快感を覚えるほどに派手だし、螺旋階段の彫刻は確かに美しいが、はめ込まれた宝石が邪魔だ。


こんなものよりも、月に煌めく湖畔や、木々の隙間から差し込む陽の光の方がよっぽど美しいといえる。

しかし、そんなことを口にしようものなら侮辱罪で首を跳ねられかねないので心の中に留めておく。


「アリア様。こちらになります。これより先はお一人でお進みください。」

「はい。分かりました。」

「では、お気を付けて。」

え?

お気を付けて?

ただ王子様に謁見するのに、何か危険があるのだろうか?

たずねようとクロウドさんを振り返るも、意味深な笑みを浮かべているだけで答えてくれそうもない。


面倒なことにならないといいな。

そんなささやかな願いを胸に一歩足を踏み入れると、扉はすぐに閉められた。

一体なんなの?








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