無情の姫

パーティー?
 
「なぜ私が?」
 
誘拐されていきなりパーティー?

意味がわからない。

「あら?だってアリア様はルキ様の奥さまでいらっしゃいましょう?」

「え、えぇ。そうでしたね。」

危ない危ない。

下手にばらしてはあの王子に何をされるかわからない。

「さ、アリア様。支度が整いましたよ。」

メリアと話している間に着替えは終わったらしい。

着せられたドレスは白で可愛らしいというよりは大人っぽい雰囲気のものだ。

(こんなドレス、初めて・・・。)

今まで、家族が気味悪がって外に出してもらえなかったため、舞踏会やパーティーといった催しごとに出るのは初めてだ。

つまり、美しいパーティー仕様のドレスを身につけること自体も初めてなのだ。

「よくお似合いですよ。」

綺麗なドレスに見とれてぽーっとしていると、ふふっと笑いながらメリアはいう。

そう言えば、

(なぜこの城の人たちは私の事を嫌がらないの?)

家にいる頃は皆がわたしを嫌って、言葉をかわすことなんて滅多になかった。

しかしどうだろう。

この城の人は皆、笑顔で言葉をかけ、話してくれる。

それに、一瞬見えたクロウドの赤い瞳は?







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