無情の姫
エスコートされたのは会場の一番前の席。
今も視線は集中したままだ。
(居心地悪い・・・。)
膝の上でキュッと手を握りしめる。
すると、自分の手に誰かのそれが重ねられた。
「ぇ、ルキ様?」
もちろんその手はルキ様のものだ。
「そんなに緊張するな。」
「は、はい。」
(励ましてくれた?)
悪い人ではないのかもしれない。
しかし、脅されたことも事実。
どちらが本当の彼なのだろう?
ジーっと王子の顔を眺めてみる。
「アリア?どうした?」
「いえ、何でもありません。」
気づかれるくらい凝視していたのかと思うと恥ずかしくなって顔を背けてしまう。
だが、
「何でもないことはないだろう?」