無情の姫
すると一人の男性が王子の前に進み出てきた。
「やぁルキ。久しぶりだね。」
挨拶に来た上流貴族の一人かと思いきや、親しげな口調だ。
(知り合い?)
「また来たのか?」
眉を寄せ、ぶすっと不機嫌な顔になる王子。
「やだなー。そんな顔しないでよ、親友に向かって。」
「誰が親友だ、誰が。」
「またまたー。そんなんだと膝の上の彼女に嫌われちゃうよー?」
膝の上の彼女?
そこでようやく自分が王子の膝の上にいることに気がつき、隙をついて飛び降りる。
「ったく、お前のせいでアリアが逃げただろ。どうしてくれる。」
ますます不機嫌になる王子の全身からは早く帰れオーラが惜しみなくあふれでている。
そんな王子を完全に無視する形で男の人が近づいてくる。
するとスッと身をかがめ、その人の顔は私の首筋へ。
「君、アリアちゃんってゆーんだ。」
(っくすぐったい!)
息が肌をくすぐり、思わず目を瞑る。