無情の姫
父の書斎は入りにくい。
重厚な作りの扉であることに加え、装飾がないこともあり、何となく冷たい雰囲気を醸し出している。
「失礼いたします。」
軽くノックをして書斎に入ると、まだ朝だと言うのに机に向かっている父。
「あぁ、きたか。」
しばらくしてようやく顔を上げ、1通の手紙を手渡される。
「それを部屋で読んでおけ。以上だ。戻れ。」
「はい。失礼いたしました。」
わずか5分。
実の親子であるにも関わらず、話したのは一言二言だけ。
昔こそおかしいと思ったが、今は特に異常は感じなくなった。