【完】365日、君をずっと想うから。
「ったく、危なっかしい奴」
不意に耳元で、低く、どこか甘い声が聞こえた。
と同時に、落ちるはずだった私の身体が、後ろから腹部へと回された腕によって、支えられていることに気づいた。
声がした方に顔を向けると、思った以上の至近距離で声の主と目が合い、
ち、近いっ……!
ドキンと心臓が反応する。
視界いっぱいに映るのは、思わず見惚れてしまうほど整った顔。
そう、私を助けてくれたのは……
昨日の、失礼な人。
「ありがとう……」
私の足が階段を踏んで、バランスを取り戻し、身体が離れたかと思うと、
コツンッ
突然、げんこつが頭の上に飛んできた。
「いたっ……!」
な、なんでげんこつがっ?