【完】365日、君をずっと想うから。
頭をさすりながら顔を上げると、そこには不機嫌そうな彼の顔。
「不用心すぎるだろ、ばか。
入学してすぐに非常階段から落ちて骨折したって話聞いてなきゃ、助けられなかった」
「……ん?」
言葉に、違和感を覚えた。
あれ?
何言ってるんだろう、この人。
昨日といい今日といい、言ってることがよく分からないんだけど……。
「あの、あなたは……?」
頭の中を整理するように、順序を立ててひとつずつ理解しようとする。
「俺は向坂 蓮(こうさか れん)」
「向坂、くん……」
おずおずと名前を呼ぶと、向坂くんは眉間に皺を寄せた。
「名字呼びかよ。
なんでそんなにぎこちねぇの、花」
え……?
さらっと、すごくナチュラルに、今私の名前を呼んだ。
なんで、なんで
私の名前を知ってるの……?