【完】365日、君をずっと想うから。
ふたりで歩く帰り道は、時間が過ぎるのが早く感じる。
大抵花が話し、それに俺が適当に相槌を打つ。
花の最近の話題といえば、ひかるとのやりとりばっか。
正直ひかるの話題は飽きてきたけど、花が笑ってるからまぁいいかって思う。
だけど。
「じゃあな」
花の家がある坂下まで来て、別れようとしたとき。
俺はそこで初めて、花の顔が翳っていたことに気づいた。
さっきまで楽しそうに話していたのに。
今、その顔には、嬉しそうな笑みの欠片も見えない。
「う、うん……」
花はうつむきがちにそう返事をするけど、明らかに元気がない。
ぜってぇなんか変なんだけど。