【完】365日、君をずっと想うから。
私は……逃げていたんだ。
声が出ないことを言い訳にして。
2人に向き合うきっかけはたくさんあったのに。
声が出なくても、自分から動くことはできたのに。
自分の殻に閉じこもって、逃げ続けていた。
全部全部、勇気がない私のせい。
そのことに気づかせてくれたのは、だれでもなく蓮で。
私はゆっくり頭を上げ、お父さんとお母さんの目を見つめる。
「お兄ちゃん達と同じ高校に行けなくてごめんなさい。
たしかに私はみんなより勉強できない。
でも、でも……私がここにいてもいいって、家族の一員だって認めてほしい……」
気づけば、涙が頰を伝っていた。
一粒が転がったかと思うと、重力に逆らえなくなったかのように、次から次へとこぼれ落ちる涙。