【完】365日、君をずっと想うから。
また泣きそうになりながらも、私の頰は柔く緩み、口には微かな笑みが乗っていた。
だって、
「名前……。
呼んでくれてありがとう……」
お母さんが私の名前を呼んでくれたから。
「え?」
お母さんが小さく首を傾げた。
「宝物なんだよ、私の名前。
私が小さい頃、お母さん話してくれたよね。
『周りの人を幸せにできるような子に育ってほしい、そう願って〝花〟って名前をお父さんとつけたんだよ』って」
2人が意味を込めてつけてくれた、大切な私の名前。
『花』
『花ちゃん』
『花ちん』
蓮、コウくん、ひかるちゃん。
今はね、大切な人たちが呼んでくれるんだよ。
周りの人を幸せにできる子に ───
2人の願い、叶えられるような子にならなきゃいけないね。
「お父さん、お母さん。
こんなにも素敵な名前をつけてくれてありがとう……」
「花……」