【完】365日、君をずっと想うから。
「蓮、今日は本当にありがとう」
私は蓮を見送るため、蓮と共に家の外へと出た。
庭へ出た直後の私の言葉に、蓮が何気なくこちらを振り返る。
私は立ち止まって蓮を見上げた。
「ん?」
「蓮、毎日うちに来てくれてたんだね。
お父さんとお母さんを説得するために……。
迷惑たくさんかけてごめんね」
何度頭を下げてくれたんだろう……。
私のために、罵倒の言葉だって何度も受けたに違いない。
蓮のことを思うと、胸がきゅうっと締めつけられる。
まるで自分のことのように。
ううん、もしかしたらそれ以上に。
するとポケットに入っていた蓮の手が伸びてきて、ぐしゃぐしゃーっと無造作に私の頭を撫でた。
「だから、いちいち謝んなっつーの。
俺が勝手にやってたことだし」
「蓮……」
少し怒ったような蓮の顔。
そうだった、蓮は遠慮されるのが嫌いだった。
ごめんね、は失礼だね。