【完】365日、君をずっと想うから。


「早速つけるねっ!」



「おう」



このバレッタをつけてるところを蓮に見てもらいたくて、私ははりきって髪にバレッタをつけようと試みる。



だけど、なかなかうまく髪に引っかかってくれない。



「んん……」



苦戦しながらも続けていると、不意にこちらに近づいてきた大きな影が私を覆い、そして私の手の上に手が重ねられた。



「……っ」



それは言わずもがな蓮の手で。



「ったく不器用すぎ」



蓮の甘い吐息がすぐ上から降ってきて、それは身体全体をくすぐるよう。



時々髪に触れる蓮の細い指。


髪に神経は通っていないはずなのに、蓮の指を敏感に感じ取ってしまう。



あまりの近さに鼓動が騒がしくて、息苦しくて。



もう心臓が限界……っ!



と、ぎゅっと目をつむったとき。



「ん、できた」



その声と共に、蓮が少し離れた。

< 223 / 418 >

この作品をシェア

pagetop