【完】365日、君をずっと想うから。
ぴかるんと呼ばれたひかるちゃんが、ガイドさんのように私を示した。
「シノ、紹介するね。
この子が花ちんだよ!」
「は、はじめまして……!
小暮花です」
突然振られ、緊張しながらも自己紹介をすると、彼の瞳が一瞬開き、そしてすぐまた柔く細められた。
まるで、猫みたいに。
この人が笑ったら、きっとだれもが心を許してしまうんじゃないかな。
「君が花ちゃんだね。
はじめまして、篠坂依澄です。
みんなからは、シノって呼ばれてます」
シノって、あだ名だったんだ。
下の名前かと思ってた。
そんなことを考えたのは一瞬で、私の思考は胸の中に覚えた違和感でいっぱいになっていた。
ふとした違和感は、みるみるうちに大きくなっていく。
あれ、なんだろう……。
なにか、大切なことを見逃している、
そんな気がして。