【完】365日、君をずっと想うから。
涙をこらえ、その場から動けないでいる私の元に歩み寄り、そして ───
「会いたかった……」
コウくんは切なさに滲んだ声を上げ、私を抱きしめた。
「コウ、くん……」
ドキンッと心臓は跳ね上がったけど、それよりも安心感の方が大きく私を包み込んでいた。
コウくんの懐かしい温度、コウくんの懐かしい匂い。
身体を離したコウくんは目に涙を溜めていて。
私の肩に手をかけ、その潤んだ瞳でこちらを見つめた。
「花ちゃん、ごめんね。
急にいなくなったりして……」
私は、自分の意思がちゃんと伝わるように、ふるふると首を横に振った。
悲しさと後悔に満ちた表情を見れば、コウくんも私と同じ、つらい気持ちを抱えていたことがわかるから。