【完】365日、君をずっと想うから。
「でも、勇気がでなくて花ちゃんに会えなくて。
だけどきっかけができたから、会いに来たんだよ」
「勇気?」
私に会うのに、勇気なんてちっともいらないのに。
なんで?というふうに首を小さく傾げると、コウくんはちょっと困った表情を浮かべて笑った。
「ごめん。
それは、こっちの話」
あ、コウくんが笑った。
「コウくんの笑顔、久しぶり」
「花ちゃんの笑顔も、久しぶり」
どちらからともなくくすっと吹きだし、二人で笑い合う。
やっと訪れた、コウくんとのささやかな幸せな時間。
一人暮らししているアパートは電車で数駅ほどの場所にあるらしく、その後コウくんは家まで送ってくれた。
初恋の人との再会を果たし、幸せな気持ちでいっぱい、なはずだった。
だけど、家に着いてからの私の心は、なぜか蓮のことでいっぱいに埋め尽くされていた。
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