【完】365日、君をずっと想うから。
赤くなった頰を両手で包み込み、その熱を冷まそうとしていると。
「でも、」
コウくんが短かく言葉を続けた。
「だれにだって、そんなことするわけじゃないよ」
「え?」
さっきまでのくだけた口調とは違う、真剣味を帯びた声に、私は思わず視線をコウくんに向けた。
「花ちゃんはずっと、俺にとって大切な人だから」
「コウくん……」
ドキッと心臓が揺れた。
コウくんの瞳はそらせないほどに、その奥に強い光を秘めているようで。
こんな状況だけど、コウくんの一人称が〝僕〟から〝俺〟になっていることに気づく。
コウくんは、もう大人なんだ。
会っていない間も、コウくんはコウくんの時間を過ごしていて。