【完】365日、君をずっと想うから。
「あのね……っ」
ずっと、言えなかったことがあるんだ。
再会できる日を夢見て、何度も練習した
〝好き〟
って言葉。
「私、ずっと、」
ほら、今しかない。
「……っ……」
開いた口から、言葉が、でなかった。
喘ぐように声を紡ごうとする。
でもなぜか、たった一言が喉から出ようとしなかった。
「どうしたの?」
「 ……ご、ごめんっ。
やっぱり、なんでもない!」
不思議そうにこちらを見つめるコウくんに、私は慌てて笑顔を取り繕う。
でも内心は、自分自身にひどく戸惑っていた。
どうして?
どうして、言えなかったの?
ううん、言えなかったんじゃない。
言わなかった……。
ざわざわとざわめいている心をどうすることもできないまま、私は取り繕った笑みを崩さないようにコウくんの元へと駆けた。
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