【完】365日、君をずっと想うから。


「あのね……っ」



ずっと、言えなかったことがあるんだ。



再会できる日を夢見て、何度も練習した

〝好き〟

って言葉。



「私、ずっと、」



ほら、今しかない。



「……っ……」



開いた口から、言葉が、でなかった。



喘ぐように声を紡ごうとする。



でもなぜか、たった一言が喉から出ようとしなかった。



「どうしたの?」



「 ……ご、ごめんっ。
やっぱり、なんでもない!」



不思議そうにこちらを見つめるコウくんに、私は慌てて笑顔を取り繕う。



でも内心は、自分自身にひどく戸惑っていた。



どうして?

どうして、言えなかったの?



ううん、言えなかったんじゃない。


言わなかった……。



ざわざわとざわめいている心をどうすることもできないまま、私は取り繕った笑みを崩さないようにコウくんの元へと駆けた。








°



< 276 / 418 >

この作品をシェア

pagetop