【完】365日、君をずっと想うから。
◇ 甘いチョコに想いを乗せて
◇
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まだ、厳しい寒さの残る2月。
女の子にとっての一大行事が近づいてきた。
寒さなんて吹き飛ばすかのように、街全体がピンク色に染まりつつある。
それは、私の通う高校も例外ではなくて。
「花ちん! チョコだよ!」
SHR終わりの休み時間。
私の机の前に立ったひかるちゃんが、ハイテンションで雑誌を胸の前に掲げた。
そのページは、びっしりと様々な形のチョコレートの写真で埋め尽くされていて。
美味しそうなだけじゃなく、デコレーションもとってもかわいい。
見てるだけでも、幸せな気持ちになれてしまいそうな。
「うわぁ、おいしそう!
ひかるちゃんって、チョコも好きだったんだぁ」
マカロン好きは知っていたけど、チョコレートも好きだったなんて、初めて知った。
甘いものが好きなのかな。
「そうそう。レシピ本を学校に持ち込んじゃうくらいにはね……って、ちっがぁう!
バレンタインだよ、バレンタイン!」
ひかるちゃんの華麗なノリツッコミで、私はやっと気付いた。
明日が2月14日。
バレンタインだということを。