【完】365日、君をずっと想うから。
「あっ、あたしも作ってきたよ!
花ちんに友チョコ!」
ひかるちゃんが上半身を倒し、机の横に掛けていたスクールバックをゴソゴソと探る。
「あったあった!
はい、花ちん! ハッピーバレンタイン♪」
ひかるちゃんの手に乗っていたのは、可愛くラッピングされた小さな袋。
「ありがとう!」
私がそれを受け取ると、それまでの笑顔がしゅぅぅん…と消えて、ひかるちゃんが頼りなさげな表情を浮かべた。
「あ、あのね、実は初めて手作りしたんだ。
だから、うまくできてるか分からないんだけど……」
もじもじと恥ずかしそうに小声で発される声は、今にも消えてしまいそうで。
「でも、花ちんに食べてほしくて頑張ったの。
だから食べてもらえると嬉しいなぁって」
「ひかるちゃん……」
きゅううんと心臓が射抜かれる。
可愛すぎて思わず抱きしめたくなりそうな衝動を抑えて、私は頬をゆるゆるに緩めた。
「ひかるちゃんの手作りチョコ、本当に嬉しい!
大切に食べるね!」