【完】365日、君をずっと想うから。
チョコをあげるだけで、こんなにも大変な思いをするなんて。
ガクッともう一段階肩を落とした。
と、そのとき。
「ああああああ!
花ちん! 花ちん!」
絶叫にも似たひかるちゃんの大声に、私はびくっと肩を揺らして顔を上げた。
見れば、あわあわと口を動かしているひかるちゃんが、窓の方に顔を向けたまま、そちらを指差していて。
「どうしたの? ひかるちゃん」
不思議に思いながら立ち上がり、ひかるちゃんの視線の先を見ると、そこには校庭を歩く金髪の男子の後ろ姿。
間違いなく、蓮。
スクールバックを背負った蓮が、校門に向かって歩いているところだった。
帰るんだ、きっと。
「花ちん、早く行かなきゃ!
蓮が帰っちゃうよ!
これを逃したら、バレンタインが終わっちゃうっ!」
訴えかけるような瞳で私の腕を掴み、ぶんぶんとその手を上下に振りながら、また声を張り上げるひかるちゃん。